こんばんは、しめじです。
今夜から、助動詞の話を具体的に進めていこうと思います。
あまりまとめてがーっと書くつもりはないので、一日に二つか三つくらいが限度だと思いますが、ちょっとずつ紹介していきます。
紹介するのも、対にして覚えたいもの、構造やルーツが似ているもの、働きが似ているものなど、何らかのグループ分けをしていきますので、せっかくなら助動詞の学習の際の参考にしてください。
今夜は、まず手始めに、打消の「ず」の話をしましょう。
目次
やっぱりまずは活用表から

活用の種類
前回、助動詞の活用は、似た形の用言の活用を使って、「〜型」といいますと言ったにもかかわらず、いきなり「特殊」ですみません。
本当はこの活用表は三列で書きたいのですが、最近の参考書はこの二列で書くことが多いようなのでそれに倣っておきます。
まず、主となるのは上の段、「( )、ず、ず、ぬ、ね、( )」です。
こちらがいわゆる本活用とされる側です。
さらにもとを辿れば、未然形から順に
ず、ず、ず、( )、( )、( )
となる活用と、
な、に、( )、ぬ、ね、( )
となる活用の二つの活用にわかれます。
ただ、このうち、未然形の「な」と連用形の「に」は、平安時代よりも前に主に用いられていた形なので、学校で読む範囲の物にはまず滅多に出てきません。
未然形の「ず」は、「ずば(もし〜ないならば)」という形で主に室町時代以降に用例がありますが、この「ず」は未然形ではない、とする説もあって(この段階でこれについて詳しく話すとややこしくなるので止めておきますが)、共通認識には至っていない状況です。
要約すると、「要するに学校で古文を読む分には使わない」ということになります。
だからといって、まるで端から無かったかのように書くのはどうかとも思うので、一応書いておきます。
というわけで、特殊な場面をのぞいて使わない活用、を取り除いた結果が、活用表の上の段です。
さて、下の段。
こちらは補助活用になります。
すべて、「ず+あり」が約まったものです。
「ずあり」→「ずぁり」→「ざり」ですね。
あれ? これと似たようなの、以前にもやりましたね。
こちら。

形容詞の活用です。
この補助活用も、「本活用の連用形+あり」でした。
打消の助動詞の下の段も、全く同じ成り立ちです。
この下の段を、補助活用と言います。
本活用と補助活用の使い分けは、これもまた形容詞と一緒。
基本的には、助動詞は補助活用の後です。それ以外は、基本的には本活用の後と覚えておきましょう。
あと、紛らわしい、見分けが必要なものとして、次回話そうと思っている、
完了の助動詞「ぬ」
があります。
この完了の助動詞、打消の助動詞と一瞬判断に迷います。
ちゃんと接続とかの知識を得れば、簡単に見分けがつくのですが、油断して見落とすと文の意味を盛大に誤解したまま…となりかねません。
しかも、ちょっと厄介なことに、今の日本語の雰囲気と反対なんです。
例えば、「風と共に去りぬ」っていう映画のタイトル聞いたことありますよね。(もしかしたら今高校生の方は知らない方が多いかもしれませんが)

こちら。
あのタイトル、
「風と共に去らない」「風と共に去ってしまった」
どちらでしょうか。
この後の内容も読んで、ちょっと考えてみてください。
用法
「打消」
これしかありません。
「〜ない」と訳せばOKです。
接続
打消という働きから考えてみましょう。
打ち消すということは、その出来事は「起きていない」わけです。
あるいは、その状態「ではない」ですし、「なっていない」とも言えます。
ということで、打消の助動詞「ず」は、未然形に接続する、ということになりますね。
(動詞の活用の種類を見分けるときに、後ろに「ず」をつけて、と説明していたのは、こういう理由です)
まとめ
というわけで、以上、打消の助動詞「ず」の話でした。
最後にまとめておくと、
活用表は
()、ず 、ず 、ぬ 、ね 、()
ざら、ざり、()、ざる、ざれ、ざれ
用法は「打消」
接続は未然形
となります。
では、今夜はこの辺で。