こんばんは、しめじです。
そろそろ、助動詞のお話をボチボチしていこうかな、と思います。
おそらく、そろそろ期末試験。もしかしたら、今週月曜日から始まっているところもあるかもしれませんね。
ちなみに、私の職場は来週からです。
多くの学校では、この1学期は用言(動詞、形容詞、形容動詞)の練習がメインだったのではないかと思います。あと、漢文の基本。
今後は、この用言の内容を土台に、助動詞、助詞、敬語と進んでいくのが教科書の教材配置の流れです。
ですから、もちろん今間違いなく押さえておくべきなのは用言の活用ではありますが、ちょっと早く学習が進んでいる人、用言が大体理解できたので、ちょっと先取りしておきたい人のために、ちょっとずつ、助動詞の話をしておこうと思います。
1学期、ひたすら下二段活用とか未然形とかやってきて、「こんなの見分けて何になるんだよ」と思った人もいるかもしれませんが、その知識が生きてくるのが助動詞です。
用言がいい加減だと、助動詞も結構ちんぷんかんぷんになります。
反対に、用言をきっちり理解できていると、助動詞は大して難しくはありません。
ま、物は試し、です。
とりあえず、どんなものか見ていってください。
では。
まずは、入門編。
助動詞って何者か、というところから、きちんと理解していきましょう。
目次
助動詞とは
助動詞は何を覚えればいい?
活用について
用法について
接続について
助動詞とは
二つある付属語のうちの片方の品詞です。
名詞、動詞、形容詞…と色々ある品詞ですが、大きく二つに分類されます。
一つは、それだけで意味を為す言葉である、自立語。
名詞、動詞、形容詞、形容動詞、副詞、連体詞、接続詞、感動詞。
イメージとしては、その単語だけで「〇〇○。」と鉤括弧の中に入れても通じる言葉です。
「それ。」「走れ。」「大きい。」「しかし?」「ああ!」などなど。
まあ、中にはこうしてしまうと意味不明なものも無いわけではないですが、大事なのはその単語単体でちゃんとした意味があることです。
そしてもう片方が、付属語。
字の通り、「付属」、つまり他の言葉にくっついて初めて役割をはたす言葉です。
その役割はとにかく多岐に渡ります。
その出来事が過去の出来事なのか、そうでないのか、まだ続いていることなのか、もう終わったことなのか、できるのか、できないのか、確実なのか、不確実なのか、主語なのか、並列なのか、願望なのか、命令なのか、などなどなどなど。全部をここに書くことはできません。
そして、その付属語のうち、活用する(=形が変わる)ものを助動詞。
活用がないものを助詞と言います。
助動詞は何を覚えればいい?
助動詞を学ぶにあたり、覚えるべきことは三つです。
・活用
・用法
・接続
活用について
助動詞は活用があります。
ありますが、助動詞の中にはもともと動詞だったものが変化して生まれたもの、形容詞が変化して生まれたものがたくさんあります。
したがって、多くの助動詞が何らかの動詞や形容詞と同じような活用をします。
例えば、おそらく高校一年生が最初に習うだろう助動詞「けり」は、未然形から順番に、
けら、(けり)、けり、ける、けれ、(けれ)
となります。( )は、用例が一切ないため、「存在しない」と考えられている活用です。多くの参考書は●とか−で、存在しないことを示していますが、ここでは動詞の活用と見比べやすくするため( )に想定される活用を入れておきます(用例が一切ないので、もし有った場合に本当にこう活用するのかはわかりません)。
これ、ラ行変格活用と同じですね。
なので、助動詞「けり」は、「ラ行変格活用型の活用」と表現します。
この「けり」は、もともと「来(き)有り」だったと考えられています。ですから、動詞「有り」と同じ活用をするわけです。
用法について
助動詞は、言葉に様々な意味を付け加える言葉です。
例えば、「走る」にいろいろな意味を加えてみましょう。
ここではまだ、今の日本語で考えます。
「走れる」…可能
「走らず」…打消
「走ろう」…意志、もしくは呼掛
「走るだろう」…推量
「走りたい」…願望
「走った」…過去や完了
「走っている」…存続
「走るそうだ」…伝聞
「走らせる」…使役
などなど。他にもいっぱいありますね。
これらの、「どんな意味を付け加えるのか」を用法と言います。
右側に書いたものは、全て助動詞の用法です。
そして、助動詞は、単語と用法が一対一対応ではありません。
例えば、「る」という助動詞があるのですが、この「る」という助動詞の用法は
受身(〜される、〜られる)
可能(〜できる)
自発(自然と〜される)
尊敬(〜なさる、〜される)
の四つです。
多くの受験生を悩ませている「む」や「べし」は、もっとたくさんあります。
この「る」という助動詞は、もともとは「自発」、つまり、自分の意思でそうしたわけではないことを表す意味で使われていました。
それが派生していって、自分の意思でない動作に広く使われるようになり、可能や受身、尊敬の意味が加わっていったと考えられています。
例えば、ある曲を聞くと好きな人を思い出してしまうことがあるとすれば、それは「あの曲を聞くと好きな人が自然と思い出される」と表現できます。
これが、「自発」です。
その曲を聞くと、自分が思い出そうとしているかどうか関係なく、勝手に思い出してしまう。
続いて。
あの曲を聞いても好きな人を自然と思い出さなくなったとしましょう。
すると「あの曲を聞いても好きな人が自然と思い出されることがない」となります。
それってつまり、思い出せていないわけです。
だから、「自発+打消」は「不可能」なので、「る」単体は「可能」の意味も持つようになったわけです。
(従って、古典で可能の「る」はほとんど打消とセットで出てきます。念のため言っておくと、打消とセットで出てきたからと言って必ず可能であるわけではありませんよ)
次。
「告白される」という出来事があったとしましょう。
自分の意思で告白されたわけではありません。
「よし、あの子に告白されよう」なんて考えて計画通りに告白してもらえるのであれば、そんな方法是非知りたいものです。
ということで、「受身」の意味も持ちました。
最後。尊敬。これはちょっと説明が難しいのですが、自分より強い存在、尊い存在、おそれ、かしこまるべき存在が行った動作に対しては、自分は抗いようも断りようもありません。
そういう畏れのイメージが、「尊敬」の用法も産んだと考えられています。
(ただ、これについては諸説あるというか…)
なので、尊敬はどちらかというと受身から派生したきたと考えられています。
ただし、用法は、後になって現代の我々が勝手に分類しているだけで、当然のことながら昔の人はこんなこと意識して喋ったり書いたりしていません。
どの用法なのか判断できないことも結構たくさんあります。
ただ、心配しなくても、試験ではそういうのは滅多に出ませんし(だって出題者のこっちが説明できないんですから)、趣味として古典に親しむ分にはどの用法かをいちいち根つめて考える必要はありません。
見分けられるものだけは、正確に見分けるというくらいの心構えで大丈夫です。
接続について
これが大変重要。
全部赤文字にしたいくらい重要です。
例えば、活用のところで例にあげた助動詞「けり」は、直前の語が連用形と決まっています。
用法のところで例にあげた助動詞「る」は、直前の語が四段活用、ラ行変格活用、ナ行変格活用の未然形、と決まっています。
こういう風に、助動詞・助詞は、直前にくる品詞や活用形が大体決まっています。これを、接続と言います。
この接続を元にして、「うしろに「けり」があるから連用形だなー」とか、「直前が連用形ということはこっちの助動詞か」と、前後を色々判断していくことになります。
例えば、先ほどもあげた助動詞「る」なのですが。
完了(その動作、出来事が終わっていることを表す)の助動詞「り」も、連体形が「る」になります。
つまり、見た目はどちらも「る」なんです。
でも、接続が違います。
自発の助動詞「る」は、四段・ラ変・ナ変の未然形に接続します。
完了の助動詞「り」は、サ変の未然形か、四段の已然形に接続します。
ということは、直前の動詞の活用形がわかれば、見た目は同じでも見分けがつくんです。
これも、もともとの助動詞の由来や、その助動詞の意味という点から考えると理解しやすい場合が多いので、今後一つ一つ助動詞の話をしていきますが、そういう点にも触れていきたいと思います。
いかがだったでしょうか。
こうやってばーっと説明されると、結構???????????????となるかもしれませんが、実際の助動詞を取り上げながら学んでいけば「あ、なんだ、これだけのことか」と思うと思いますから、あまりビビらなくても大丈夫です。
ちょっとずつ、やっていきましょう。
では、今夜はこの辺で。