こんばんは、しめじです。
今夜は、少し現代文についてお話ししようと思います。
尤も、現代文という科目の性質上、これは現代文だけではなく、言葉を使ったアウトプットのすべてに共通して言えることではあります。
何かというと、「掛け算」のお話です。
目次
現代文の点数って何で決まる?
もちろん、現代文の点数は「解答」で決まるわけですが、そこに行き着くまでのプロセスを理解する必要があります。
これは、掛け算に近いイメージだと思います。
掛ける値は四つ。
一つ目:読解。
目の前に提示された文章を読んで、そこに書かれた語句やロジックの意味をどのくらい理解できるのか。
例えば、意味のわからない言葉が多ければ、理解できないところが増えますから、その分この値が小さくなるとイメージしてください。
二つ目:解釈。
読んで理解した情報から、意味や筆者の主張などを抽出する段階です。文章の内容そのものは理解できても、その解釈を誤れば、当然そのあとの解答も変わってきてしまいます。
三つ目:解答(頭の中で)。
頭の中で、解釈した内容と設問とを照らし合わせて、「どんな内容を答えればいいか」を考える段階です。
四つ目:記述。
頭の中で組み立てた解答を、言語化してアウトプットする段階です。自分がイメージしたことが全て言語化されるわけではないですし、字数制限がかかっていたらそれに適合させていく必要があります。
この四つの掛け算の結果が答案などに書かれた答えになるわけです。
ですから、例えば、全て正しく読み取り、解釈も合っていて、それに対する最適解を完璧に言語化することができたとすれば。
語弊はあるかもしれませんが、それを簡潔に数値で表せば、1×1×1×1=1となりますので、100パーセントということになります。
でも、全て正しく読み取っていたけど、解釈が半分間違っている場合、その解釈に基づけば最適解と呼べる解答を導き出し、それをきちんと言語化できたとしても、1×0.5×1×1=0.5となります。
7割正しく読み取れて、それに対して7割正しく解釈し、それに基づいて7割は正しいと言える解答を考え、それを7割だけ言語化できたとすれば、0.7^4=0.2401。10点満点なら2点か3点という具合です。
間違った解釈に基づいて考えたって正答には辿りつきませんし、思ったことを言語化できなければ意味がありません。と考えれば、この掛け算のモデルで私の言いたいことは理解してもらえるのでは無いかと思います。
さて。で、現代文の話ですが、大事なのは、
「私たち採点者はその掛け算の結果しか見えていない」
ということです。
もちろん、解答を読めば、「あー、多分これ勘違いして書いたな」とか思うことはあるんですが、決して「多分本当はこういうことが言いたかったんだろう」と慮って点数足してあげたりすることはありません。書けてるかどうかが全てです。
ですので、私は自分が現代文を担当する最初の授業でこの話をします。
「テストが返されてから、こういうつもりで書いたんです、って言いに来るのはナシだよ」という意味です。そういうつもりなら、そういうつもりだと分かるように書かなければいけません。出力できるかどうかまでが学力ですからね。
テスト返しの時の反応別、何を磨けばいいのか集。
上述した内容を前提に考えると、「点数」だけだと、自分に何が欠けていたのかが判断できない、ということになります。
そもそもの理解だけが間違っていても、解釈だけが間違っていても、頭の中で組み立てた解答が間違っていただけだとしても、記述しきれなかっただけだとしても、どのみち点数は同じです。
あまり深く考えずに、「あー、自分は○点だー」でショックを受けておしまいだと、いつまで経っても進歩しません。
そこで、是非考えて欲しいのは、模範解答を見た時の自分の反応です。
例1「そこが答えだったのかー」「ん?なんでこれが答えなんだ?」
読解でミスっている可能性が高いですね。読む場所が間違っていたり、設問の意味を捉え間違えていたり。特に後者、何で模範解答がこうなるのかわからない、という場合は、間違いなく本文理解に不足があります。
例2「あ、そういうことを答えれば良かったのね」
解釈か、頭の中で組み立てた解答にミスがあったということです。模範解答を見た瞬間に意味が分かったということは、本文理解はそんなに間違っていなかったということです。
それなのに、自分の解答がそもそものところから違う場合は、解釈と解答組み立ての段階でずれていた可能性が高いです。
例3「自分の答えなんで△なの? 同じこと言ってない?」
言ってないから△なんです。これは、記述のところで失敗しています。模範解答と自分が同じことを考えていて、自分もそう書いたつもりでいたのに、○にならなかったということは、記述に漏れや不足、記述間違いがあったということです。
様々なプロセスの掛け算の結果が「出力されたもの」。
同じ点数だとしても、自分がどこで点を失っていたかを分析することは大切ですね。
もちろん、この「出力されたものは様々なプロセスの掛け算の結果だ」という考え方は、数学や英語をはじめとしたどんな科目にも応用できますし、大学で論文を書いたり、仕事で書類を作る上でも必要です。
反応や評価が思うようなものでなかった場合、自分のとったプロセスのどこに問題があったのかは、どのような場面でも冷静に振り返れるようになりたいなと思います。
政治家なんかが発言を問題視されて、記者会見などで「そういう意図ではなかった」などと釈明しているのを見かけると、ついつい笑ってしまいますよ。
というわけで、今夜はこの辺で。