【古典文法】用言の練習問題【解答編】

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問題編はこちら。

 こんばんは。しめじです。

 今日は、予定通り、昨日の練習問題の答え合わせです。早速行きましょう。

 ただ、先に断っておくと、いくつかの問題は「厳密に正解を一つに絞る」ためにはもう少し先の知識(助詞、助動詞)が必要なものがあります。
 ですが、今回は、「現段階(私が書いたこれまでの内容)での内容」の範囲で判断していく程度にとどめておこうと思います。

人に遅れて、四十九日の仏事に、ある聖(ひじり=僧侶)を請じはべりしに、説法いみじくして、皆人涙を流しけり。
(人に先立たれてしまい、その四十九日の法事のため、ある僧を招きましたところ、その僧の説法が大変すばらしいもので、参席した人皆、涙を流した)
(徒然草 百二十五段)
1「遅れ」
2「はべり」
3「いみじく」
4「し」
5「流し」

1 「遅れ」 ラ行下二段活用動詞「遅る」連用形

 口語の「遅れる」だろうな、というところから考えていきましょう。
「ず」を後ろにつけると「遅れず」。ラ行下二段活用の動詞だとわかりますね。終止形は活用表通りに考えて、「遅る」。

 連用形か未然形かが問題なんですが、未然形は「未だ然らざる形」。文の意味を考えてみても、未然形であるとは考えられないので、連用形です。
ちなみに、「~て」の前は連用形です。四段活用の動詞で考えてみましょう。例えば「飽く」に「て」を付けたら、「飽かて」にはならないですもんね。「飽きて」ですもんね)

2 「はべり」 ラ行変格活用動詞「はべり」連用形

 「ありをりはべりいますがり」で丸暗記してしまったラ行変格活用の動詞ですね。
 今度は連用形か終止形か悩みますが、文が終わっていないので終止形と判断して現時点では構いません。(この先、「終止形の後に続く語」が出てきますが、その話はその時に)

3 「いみじ」 シク活用形容詞「いみじ」連用形

 初めて聞く言葉なので、「いみず」みたいな動詞なのかどうか悩んだ人もいるかもしれません。「訳」を使うのは邪道かもしれませんが、「いみじ」は「大変、はなはだしく」という意味の形容詞です。やたらと出てくる言葉なので(若者言葉の「やばい」みたいな感じです)、この機会に覚えましょう。
 「いみじく」となっているので、これはもう悩むことなくシク活用だと判断。
後は、形容詞の活用表を思い出して連用形と判断するか、後ろにある「し」が動詞だから連用形だ、と判断するかのどちらかですね。

4 「し」 サ行変格活用「す」連用形

 用言で「し」一文字になるのはこれしかありません。
 活用表を思い出しましょう。
 あと、1でも書きましたが、「て」の上は連用形。この法則にも慣れていきましょうね。

5 「流し」 サ行四段活用動詞「流す」連用形

 後ろに「ず」をつけると「流さず」なので、サ行四段活用の動詞だと判断できますね。
 あとは、四段活用の活用表を思い出して、連用形だと判断しましょう。

人は、己をつづまやかにし、おごりを退けて、財(たから)を持たず、世をむさぼらざらんぞ、いみじかるべき。昔より、賢き人の富めるは稀なり。
(人は、質素簡潔にして、おごりたかぶる気持ちを退けて、財産を持たず、世間での評判や名声をむやみに欲しがらないようにすることが、すばらしいことである。昔から、賢明な人が裕福であるということは稀(まれ)である。)
(徒然草 十八段)
6 つづまやかに
7 退け(しりぞけ)
8 持た
9 いみじかる
10 賢き
11 富め

6 「つづまやかに」 ナリ活用形容動詞「つづまやかなり」連用形

 「に」とくると、ナ行四段活用の動詞なのかナリ活用形容動詞なのか悩むかもしれませんが、これについては語彙を増やしていく過程で悩むことは無くなると思います。
 あと、「全く今の日本語で聞いたことも見たこともない動詞」はほとんどありません。ちょっと雑ですが、「思い当たる動詞がない…」という場合は動詞ではないとアタリをつけて考えていっても特に問題ありません。(勉強を続けていけば、いずれぱっと動詞か形容動詞か見当がつけられるようになります)

7 「退け」 カ行下二段活用「退く」連用形

 先に答えの解説をしておきます。
口語の「退ける」に該当します。「ず」を付けたら「退けず」。つまり、カ行下二段活用の動詞ですね。
 あとは、1で書いたように、未然形ではなさそうなので連用形ということになります。(すぐ後ろが「て」ですしね)
 ちなみに、この言葉、以前にも書いた「自動詞と他動詞の終止形が一緒」という動詞です。自動詞はカ行四段活用(「退かず」になるので)、他動詞はカ行下二段活用です。終止形で出てきた場合は冷静に考えましょう。

8 「持た」 タ行四段活用動詞「持つ」未然形

 これはもう、初めから本文に「持たず」の形で登場するので簡単でしたね。
「ず」の前が「た」なので、タ行四段活用の動詞。あとは活用表を思い出しましょう。

9 「いみじかる」 シク活用形容詞「いみじ」連体形

 これは3と同じく「いみじ」という形容詞です。
 活用表を思い出して、今は形から判断しましょう。
 また、3も同様ですが、「ジク活用」にはしないように気をつけてください。

10  「賢き」 ク活用形容詞「賢し」連体形

 口語の「かしこい」だと考えます。従って、形容詞。
「かしこく生きる」などという連用形を考えると、ク活用だとわかります。
 あとは、活用表を思い出して判断するか、後ろが「人」=名詞なので連体形だと判断するかしましょう。

11 「富め」 マ行四段活用「富む」已然形か命令形

 後ろに「ず」をつけると、「富まず」となりますね。この響きに聞き覚えがない、ピンとこない、というのであれば、今の日本語の「ない」をつけても構いません。「栄養に富まない土地」などとなります。
 ということは、未然形が「ま」になるので、マ行四段だと判断できます。
 で、已然形か命令形か、というのが、この問題を出すべきではなかったと私が思う理由なのですが。

 これ、どっちなのか定まっていません。

 後ろにある「る」という単語は、「〜ている」という意味の、助動詞「り」なんですが、已然形の下につくのか命令形の下につくのか、辞書や参考書で言っていることがバラバラです。
たとえば、学研の辞書には「命令形の下につくよ」と書いてあります。一方、小学館の出す「大辞泉」には「已然形の下につくよ」と書いてあります。
つまり、どっちかわからない。正確にいうと、形では全く見分けがつかないのでぶっちゃけどっちでもいい、ということになります。
本当に申し訳ないです。已然形か命令形のどっちなんだろうなーと考えるところまでたどり着けたら正解です。

三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花の今咲きはじむる。柳などをかしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはをかし。ひろごりたるはうたてぞ見ゆる
(三月三日は、うらうらとのどかな日差しである。桃の花がちょうど咲きはじめるのが趣深くて良い。柳などが風情があるのは言うまでもないが、それがまだ繭(まゆ)にこもっているようなのも風情があってよい。広がってしまったものは鬱陶しく見えて好ましくない)
(枕草子 四段)
12 のどかに
13 をかしき
14 をかし
15 見ゆる

12 「のどかに」 ナリ活用形容動詞「のどかなり」連用形

 「今日はのどかだなー」の「のどかだ」です。今でも形容動詞ですね。
 あとは、活用表を思い出しましょう。すぐ後ろが「照る」という動詞だということを考えても、連用形で間違い無いですね。

13 「をかしき」 シク活用形容詞「をかし」連体形

 「を」となっていますが、口語の「おかしい」と同じだな、と気づければ、あとはいつもの手順ですね。
(ちなみに、古典の「をかし」は、今の私たちが使う「おかしい」とは全然違う意味です)
 「おかしくなる」などと動詞をつけてみると、「おかしく」という連用形だとわかりますので、シク活用。
あとは活用表を思い出しましょう。

14 「をかし」 シク活用形容詞「をかし」終止形

 13と同じ言葉です。文の終わりにありますし、活用表を思い出しても、終止形で間違い無いですね。
(ちなみに、文の最後が終止形、命令形以外の活用になる場合もありますが、それはおいおい学習します)

15 「見ゆる」 ヤ行下二段活用動詞「見ゆ」連体形

 これが一番の難問だったかもしれません。
 実は古典をずっと勉強していくと、この単語はやたらと登場回数が多いので、悩まなくても脳が勝手に反応して答えられるくらいになるんですが、古典の勉強を始めたてのうちはつまづく人が多い単語です。
 口語の「見える」である、と気づければ何とか考えられそうです。「見る」とは全く別の単語です。
 わかりやすいので口語の「見える」で考えてみましょう。
(でも、できれば古典の言葉で考えてください。口語に置き換えて考える癖がつくと、引っかかってしまう言葉もたくさんあるので)

 「ず」をつけると、「見えず」。
 ということは、「え」ですから下二段。
 そして、動詞の活用の説明の時に書きましたが、

「ア行」になるのは動詞「得(う)」だけ。

 今回は「ゆ」も出てきていますから、これは「ヤ行」だと判断しましょう。
 あとは、活用表の通りに考えれば、連体形だとわかりますね。

 以上、ちょっと長くなりましたが解説、というか考え方でした。
 どれくらいできたでしょうか。

 簡単だったなーという人は、さらに早く、さらに正確に答えられるように、どんどん練習を重ねましょう。
 難しかったなーという人も、そんなにすぐにできるようになるのであれば学校や参考書なんて要らないわけですから、「まあ最初はこんなもんか」と思ってどんどん練習を重ねましょう。

 では、今夜はこの辺で。

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