こんばんは、しめじです。
今夜は、自分の授業の備忘録も兼ねて、少し高校国語の話をします。
何かというと、「評論文の読み方」についてです。
もちろん、日本語で書かれた文章ですし、教科書や模試、入試に出てくる評論文は、一流(じゃない時もありますが)の文筆家が書いた文章。
頭から読めば、まあ理解が出来ないことは無いと思うのですが、より的確に「要点」を理解するための読み方や意識の持ち方はちゃんとあります。
また、「読んでわかりやすい文章」のギミックを知っておけば、自分が文章を書く時にも応用可能です。
目次
そもそもの、「評論」の構造
「評論」とは、文字通り、「評」を「論」じた文章です。
「評」は、評価、つまり、それについてどう考えているか、です。良いー悪いという二項対立的なものにとどまらず、○○な存在だと思う、○○していくべきだ、○○らしい物事だ、など、さまざまな「評」が存在しています。
それを、「論じる」わけです。
つまり、その「評」に至った理由、経緯、そしてその根拠や真意などを、論理的に、客観的に、相手に納得してもらえるように、理解してもらえるように書いたもの、ということになります。
したがって、「評論」は、基本的には次の三つの役割のいずれか(あるいは複数にまたがる場合もあります)を担った文章の集合体だ、と見なすことができます。
・テーマ、何について話をするのか。
・評、そのテーマについて、筆者(話者)はどのように考えているのか。
・論、なぜ、そのような評に至るのか。その理由や根拠、説明、注釈など。
多くの場合は、「評」と「論」をひとくくりにして「論」としていますが、さらに分けるなら上に書いたようになります。
大事なのは、評論の内部にあるすべての文章が、この三つの役割のどれかは担っている、ということです。
(「論」の役割の幅が広すぎるからというのもありますが)この三つのいずれにも属さない箇所を見つけるのは結構難しいです。
「テーマ」を見つける
まず、「テーマ」は何なのかを真っ先に見つけるつもりで読みましょう。
「テーマ」とは、筆者が何について話すか、という主題です。
菅政権への是非でもいいです。明智光秀は織田信長を討つべきだったのか、でもいいです。スマホを拘束で禁止するべきなのか、でもいいですし、コロナ禍が通り過ぎてもテレワークは導入しつづけるべきか、でもいいです。
とにかく、何についての考えをこれから書くつもりでいるのか、それを真っ先に見つけましょう。
なぜ探さなければならないかというと、模試や入試の評論文にはタイトルがないからです。
例えば新聞なら見出しがあります。本にはタイトルがあります。教科書の文章も、タイトルがありますよね。
でも、模試などの問題として読む評論文にはタイトルがありません。つけてくれたら親切なのに。
何故つけないのか。理由は簡単。「それを探せるかどうか」も読解力のうちだからです。
では、その肝心のテーマはどこに書いてあるのか。
大抵は(あくまで大抵は)、文章の前半に書いてあります。
なぜなら、模試なんかに出てくる評論文は、「受験生を困らせるために書いてある文章」ではなく、「たくさんの人に自分の言いたいことをわかってもらうための文章」を抜粋したものだからです。
つまり、基本的には「わかりやすく書いてある」んです。だって、そのために書いてるんですから。受験生に意地悪してやろうなんてしょーもない理由で文章を書くバカなんてどこにもいません。
もちろん、模試を作る側は、ちょっと意地悪な抜粋のしかたをするかもしれませんが、一まとまりの意味のある文章として抜き出そうとすると、やっぱりテーマ部分は前半に来るようになっちゃいます。
ですので、序盤は、「何について話すんだろう」ということを考えて読みます。
ただ、じゃあピンポイントにテーマ部分を見つけ出すのは勘頼みかというと、そうではありません。
多くの場合、何かしらの言い方で「問題提起」がなされます。
「私は、○○について考えている」とか、
「本当に○○なのだろうか」とか、
「○○という問題の解決策を考えましょう」とか。
何かしらの「問い」を出して、自分でそれに答える、というのが一般的な手法です。
例えば、「勉強が持つ人生における役割について、ここでもう一度考え直そう」なんて書いてあれば、めちゃくちゃ簡単です。その評論は「勉強が持つ人生における役割」の話です。読み終わってみたら、筆者が飼っている猫が可愛い、という話だったなんてことはあり得ません。
「早起きは三文の徳と昔からいうが、本当だろうか?」とあれば、早起きについて書かれた文ですし、「従来のやり方では、地球温暖化は解決しないという、致命的な問題がある」とあれば、「じゃあどうすれば解決するのか」か、「なぜ解決しないのか」のどちらかにまずは話が進むでしょう。
ですので、「問題提起」のワードを見つけて、筆者が何について今から話そうとしているのかを、できるだけ早く見つけることが、「内容を理解しながら読む」ことの重要な一歩目になります。
では、テーマは分かった、そのあとは?
ということについては、次回以降お話しします。
では、今夜はこの辺で。