こんばんは、しめじです。
ごくごく簡単に、ではありますが、共通テストの問題の、「こんな風に考えればいいよー」話をしていこうと思います。
もちろん、これから私立の一般入試や、国公立2次を控えている人はこんなもの読んでいる場合ではないですから、どちらかというと、共通テストの模擬受験なんかをした高1や高2の人の役に立つかもしれない、と思って書くものです。
今夜は、とりあえず第1問の評論からいきたいとおもいます。
残りは、特に書きたいことがない日のネタ切れ埋め合わせとして書くと思います。
目次
問1 漢字
(ア)民俗 ①所属 ②海賊 ③良俗 ④継続
(イ)喚起 ①召喚 ②返還 ③栄冠 ④交換
(ウ)援用 ①沿線 ②救援 ③順延 ④円熟
(エ)隔 ①威嚇 ②拡充 ③隔絶 ④地殻
(オ)投影 ①投合 ②倒置 ③系統 ④奮闘
強いていうなら、(ウ)援用はちょっと難度高かったでしょうか。
「自分の主張の助けとして、他の論文、事実、慣用を引用すること」です。
「援」は「たすける」という意味ですから、このようになります。
これを知らないと、①の「沿線」をみて、「話の内容に沿って使う」かなあ、などと考えてしまった人もいるかもしれませんね。
残りはそこまで難しいものではなかったように思います。
読みを注意するとすれば、「喚く」は「わめく」と訓読みすることはおさえておきたいところです。
問2「民間伝承としての妖怪」の説明。
傍線箇所は段落3の最後。
直後に「そうした存在」という指示語がありますので、とりあえず直前までの段落3の内容を見てみます。
直前を見ると「それは人間が秩序ある意味世界のなかで生きていくうえでの必要性から生み出された」「切実なリアリティをともなっていた」とあります。
またしても「それ」が出てくるので、さらに遡ると、
日常的な因果了解では説明のつかない現象に遭遇する。(中略)このような言わば意味論的な危機に対して、それをなんとか意味の体系のなかに回収するために生み出された文化的装置が「妖怪」だった。
とありますので、
「日頃の自分たちの知識なんかでは全く説明できない理解不能な現象を、自分たちで理解できる形にするために生み出された考え方が妖怪だった」
という趣旨の選択肢を選びます。
で、検討してみると①がわりとそのまんまですね。
問3「アルケオロジー的方法」の説明。
傍線箇所は段落10。
指示語などはないですが、段落6からアルケオロジーの説明が始まっているので、とにかく段落6〜9を見てみます。
段落9に、
アルケオロジーという方法を踏まえて、日本の妖怪観の変容について記述することにしたい。(中略)この方法は、同時代に存在する一見関係のない様々な文化事象を、同じ世界認識の平面上にあるものとしてとらえることを可能にする。
とありますから、アルケオロジーっちゅう方法を使うと、関係なさそうな物事を、関係づけて並べて考えられるようになるんだそうですってことがわかります。
つまり、「アルケオロジー」は手段で、「同時代に〜とらえることを可能にする」はその手段によって得られる結果、という関係になっていると気づきます。
ということは、直前9段落のこれは方法の説明じゃないってことですね。
直前だけ読んで飛び付いちゃだめだってことです。
なので、落ち着いてもっと遡ると、そもそも段落7が「アルケオロジーとは」という主題提示で始まっているので、こっちを見てみることにします。
すると、
思考や認識を可能にしている知の枠組み(中略)の変容として歴史を描き出す試みのことである。
とあります。
「妖怪観の変容について記述することにしたい」と段落9にありますから、どうやらこの説明を見るのでOKっぽいですね。
もっと見ると、人間が事物のあいだにある秩序を認識し、それにしたがって思考する際に、(中略)事物のあいだになんらかの関係性をうち立てるある一つの枠組みを通して、初めて事物の秩序を認識することができるのである。
とあるので、「アルケオロジー的方法」とは、
私たちが物事を認識し、思考するときに必要な、事物の間にあるなんらかの関係性をうち立てるある枠組みの変容を描き出すことで、歴史を記述する方法。
くらいの意味になるんだろうと思われます。
それを基に選択肢を検討すると、②がそのまんまですね。
ちなみに④とか⑤はひっかかりそうですね。
問4「妖怪の『表象』化」の説明。
傍線箇所は段落14。
傍線部の直前に「こうした」という指示語があるので、基本的には直前の内容を中心に解答を組み立てればいいとは思いますが、注意したいのは二点。
・表象化、ではなく、「表象」化、という表記になっている。
・「〜化」なので、変化を表している。
前者は、基本的に本文中で一般名詞にわざわざ「 」が付されているので、本文の中で「表象」が何なのかの説明があるはず。
それをまるっきり無視してしまうと、本文趣旨からずれる可能性が大きくなります。
後者は、「変化」ですから、基本的には変化の前後を説明の中に含みたいところです。つまり、「〇〇が▲▲になった」という具合です。
まずは前者から探します。
「表象」がキーワードなので、すぐに見つかるはずです。
段落13の後半。まさしく、この文章における「表象」の意味が説明されています。
近世においては、「記号」は人間が約束事の中で作り出すことができるものとなった。これは、「記号」が神霊の支配を逃れて、人間の完全なコントロール下に入ったことを意味する。こうした「記号」を、本書では「表象」と呼んでいる。人工的な記号、人間の支配下にあることがはっきりと刻印された記号、それが「表象」である。
とあるので、「妖怪の『表象』化」は、
妖怪が、人間によって作り出され、人間によって支配される記号として存在するようになったということ。
を意味すると考えられます。
(ちなみに、段落14、指示語「こうした」の前も同じことが書いてありますね)
つづいて。
「〜化」ですから、そうなる前はどうだったんだ、という話です。
で、先ほど引用した段落13の後半を見てみると、「近世においては」とあります。
ということは、近世以前(中世、中古、上代)の記述を探せばいいということです。
で、段落11をみると、冒頭に「中世において」とありますから、段落11を中心に読めばいいということになります(段落12は、「しかし近世において大きく変容する」と書いてありますから、中世における妖怪の説明は基本的に段落11を中心に読めばOKです)
で、段落11をみると、
すなわち、妖怪は心霊からの「言葉」を伝えるものという意味で、一種の「記号」だったのである。
とか、
人間にできるのはその「記号」を「読み取る」こと、そしてその結果にしたがって心霊への働きかけを行うことだけだった。
とありますから、簡単にまとめると、
中世の妖怪…心霊からの「言葉」を伝える。人間はそれを「読み取る」だけ。
↓
近世の妖怪…人間に作り出され、コントロールされる「表象」としての存在。
という構造が見出せます。
では、あとはそれが書いてある選択肢を探してみると、②ですね。
という具合です。
では、今夜はこのくらいで切り上げようと思います。
全体を使ったまとめを行う問5以降は、また次回。
それでは、今夜はこの辺で。