古典文法の基礎基本7 形容詞の活用

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こんばんは。しめじです。

今夜は、形容詞のお話です。

前回まで、動詞の活用についての話をしてきたわけですが、いかがでしょうか、覚えられたでしょうか。

覚えてない、という人は、地道にでいいですので、ちょっとずつ、ちょっとずつ、覚えていきましょう。
覚えたよ、という人は、忘れないように努力しましょう。覚えたことは、必ず忘れます。例えば、ダイエットをして、目標の体重になったその日に食事制限も運動もやめたらまた元に戻ります。

学習において、「覚える」というのはゴールでもないですし、当然その後には「覚え続けておく」がきます。そして、覚えている間に、読む練習などを繰り返して、「覚えていようとしなくても覚えていられる」状況を目指しましょう。

さて、というわけで、形容詞についてお話ししていきましょう。

目次

  1. まずは活用表
  2. ク活用とシク活用
  3. なんで活用表が二段あるの?
  4. 例外的な使い方が多い「多し」

まずは活用表

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ク活用とシク活用

形容詞の活用の種類はこの二つです。
すべての形容詞がこのどちらかに分類されます。

見分け方は簡単です。

「て」をつけてみて、「〜くて」となればク活用。
「て」をつけてみて、「〜しくて」となればシク活用です。

例えば、「高い」。
ちなみに古典の形容詞はすべて「し」で終わります。
基本的には、今の形容詞の最後の「い」をなくして、「し」に変えたらOK。
「い」をなくしたら「し」で終わるものは、そのままでOKです。

したがって、古典だと「高し」となります。

この「高し」に、「て」をつけてみましょう。

「高くて」になりますね。
なので、「高し」は「ク活用形容詞」と説明します。

上の活用表にも載せましたが、「うつくし」は「て」をつけると「うつくしくて」になるので「シク活用形容詞」です。

ちょっとやってみましょう。

問:次の形容詞のうち、シク活用形容詞であるものをすべて挙げなさい。

をかし  よろし  こころにくし かなし    めでたし 
らうたし あやし  あたらし   あらたし   びんなし 
すさまじ わりなし いみじ    おぼつかなし しどけなし

できましたか?

答えは、

をかし  よろし  かなし  あやし 
あたらし あらたし すさまじ いみじ

の七つです。

ちなみにこの15個、すべて古典独特の意味を持つ、いわゆる「よく問題に出る語」です
意味は手持ちの古文単語帳でチェックして見てください。

うしろに「て」をつけて見て、「すさまじ」「いみじ」はどうなるんだ? と思ったのではないでしょうか。
「すさまじ」は「すさまじくて」、「いみじ」は「いみじくて」になります。

「しく」じゃなくて「じく」じゃん、と思うかもしれませんが、「じく」もシク活用のうちに含めます。

なんで活用表が二段あるの?

動詞の活用表と比べたときに、形容詞の活用表は特徴的ですね。

なぜか二段あります。

これはどういうことでしょうか。
形容詞の活用表は、もともと上の段(く、く、し、き、けれ、無し)だったと思ってください。

この上の段を、本活用と呼びます。
ちなみに本活用という語は高校レベルの学習であれば多分もう出てきません。大学で文学部に言って言語学を専攻して言語学や文法学の研究室に入ったら使う用語かもしれません。

そして、この本活用に、動詞「あり」をつけたものが約(つづ)まってできたものが下の段です。

未然形:く+あら→くあら→から
連用形:く+あり→くあり→かり
(終止形:く+あり→くあり→かり)
連体形:く+ある→くある→かる
(已然形:く+あれ→くあれ→かれ)
命令形:く+あれ→くあれ→かれ

という具合です。
この活用を、補助活用(もしくは、カリ活用)と言います。
動詞の「あり」をつけますので、形としてはラ行変格活用と同じになります。
(終止形と已然形をわざわざ( )をつけて書いてある理由は最後に話します)

この本活用と補助活用、どう使い分けるのかなんですが、ざっくりというと

助動詞は補助活用に、それ以外は基本的には本活用に続くと思ってください。
この補助活用は、助動詞を繋げる時に、

例:「白くない」と言いたいとき    白く+あら+ず→白からず

となったものが活用として定着したものです。
ただ、本活用と補助活用で意味やニュアンスの違いはありませんので、訳を分けたりする必要はありまん。

例外的な使い方が多い「多し」

所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。

鴨長明(かものちょうめい)の随筆、『方丈記』冒頭の一節です。
『方丈記』は、超メジャーな作品なので高校三年間で最低一回は読むことになると思います。

訳は

場所も変わらず、人も沢山いるが、以前会ったことがある人は、二、三〇人の中に、わずかに一人二人だけだ。

というような感じになります。

この「多かれど」、古典の先生がうっかりこのことを説明し忘れていると混乱する生徒がたくさんいます。

「〜ど」は、已然形について逆接(しかし、だが)を表す助詞です。
今の日本語でも、「〜けれど」の「ど」なんかで残っています。

ところが、本来であれば已然形は「多けれ」。「多かれ」は命令形なのでは? となってしまいます。

実は、補助活用で空欄になっている終止形と已然形は、終止形「〜かり、〜しかり」、已然形「〜かれ、〜しかれ」が入ります。

ただし、用例がまあ極端に少ない。

「多し」でしか用例がない、と言っても過言ではありません。あるのかもしれませんが、少なくとも、私の乏しい知識ではぱっとは思い当たりません。

例えば、「らうたけれど」で検索してみてください。「可愛らしいけれど」という意味です。これは、源氏物語の「空蝉」の用例などがヒットすると思います。

一方、「らうたかれど」で検索をしてみると、用例は出てきません。googleをひたすら探し続ければ見つかるかもしれませんが、という感じです。

なので、多くの参考書は補助活用の終止形と已然形を省いてしまっています。「存在しない」というのはあまり正確ではないと私は思います。

というわけで、この「多し」だけちょっと特殊です。
「多かれど」と出てきても、ちゃんと「ク活用形容詞の已然形」と答えてください。断じて命令形ではありません。

では、今夜はこの辺で。

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