古典文法の基礎基本6 「射る」って何行?

こんばんは、しめじです。

今夜は、動詞の活用のお話の最後にしようと思います。

昨夜の分に、練習問題を10問だしました。

何問か、ちょっと意地悪な問題を出したのですが、実は、本当はまだまだ意地の悪い内容が、二つ残っています。

ただ、一度理解すれば簡単なので、身構えずに読んでみてください。

目次

  1. 「射る(いる)」って何行上一段活用?
  2. 他動詞と自動詞
  3. 今と活用が違う言葉

「射る(いる)」って何行上一段活用?

1-3で、「射る」という動詞を上一段活用の動詞の一つとして紹介しています。
さて、これ、何行の上一段活用でしょうか。

活用表から考えてみましょう。未然形から順に、

「い、い、いる、いる、いれ、いよ」

となります。
ぱっと見、「ア行上一段活用」と言いたくなります。

すごく、すごーく勘のいい方なら、なぜ1-3で上一段活用の語を並べた時、ア行の「射る」を最初に書かないんだろう、と思ったかもしれませんね。

実はこれ、ア行じゃないんです。

何行かというと、「ヤ行」です。「ヤ行上一段活用」。「ヤ行」ということになっています。

「弓」とか「矢」などのヤ行の音を使うごと関係があるからじゃないかとか、昔は発音が違ったんじゃないかとか、いろいろ言われていますが、どの主張も明確な根拠を持ちません。

だったら「鋳る」はどうなるんだ、という話ですし、昔の人の発音は確かめようがありません。
調べればそう言いだした(分類した)人が根拠を上げているのかもしれませんが、残念ながら私は知りません。職場の書庫にある、様々な出版社から見本としていただく文法書を手当たり次第にチェックしましたが、ちゃんとした説明は載っていませんでした。

ただ、とりあえず「学校文法」の範囲ではこれを「ヤ行だ」と教えています。
ま、高校のテストさえ乗り切ってしまえば、それが何行なのかは訊かれることは無くなるので、「そーゆーもんだ」で諦めてください。

なぜか、(私が知る範囲の)すべての学校文法の本にそう書いてあります。辞書にも「ヤ上一」と書いてあります。
(おそらく、万葉仮名との絡みでしょう、と思っていますが)

あとは、「植う(うう)」という語があるのですが、これも「ア行」ではありません。これは「ワ行下二段活用」になります。(ほかに、「据う」「飢う」なども同様です)

活用は未然形から順に

「植ゑ、植ゑ、植う、植うる、植うれ、植ゑよ」

となります。これはまあ、「え」ではなく「ゑ」を使うのでわかりやすいのですが、終止形で出てくると見分けがつきません。

なんでこんなことが起きるかというと、今と五〇音表が違うからです。

今は、

あいうえお
かきくけこ
―中略ー
や ゆ よ
らりるれろ
わ を

となっていますが、古典における五〇音表は

あいうえお
かきくけこ
ー中略ー

らりるれろ
ゐうゑ

となります。

ちなみに、「こんなのややこしくて見分けるの無理だ!」と思うかもしれませんが、実は覚え方は簡単です。

「ア行」なのは「得(う)」だけです。「ア行下二段活用」。これのみです。

後はすべてヤ行かワ行。これだけです。

ですので、そんなに身構えなくてもかまいません。
多分、高校1年生の考査の中で絶対に一度はテストに出ます。見つけたら線を引いて問題にしたくなるのが国語教師の性です。出たらラッキーと思いましょう。

他動詞と自動詞

今度は、ちょっと考える必要がある内容です。

大変厄介なことに、古典では、活用の種類が異なる動詞が、終止形だけ見ると同じ形になってしまう、ということがおきます。

たとえば、「付く」。

自動詞は、「カ行四段活用」。他動詞なら「カ行下二段活用」です。

まず、自動詞と他動詞について理解しましょう。中学校の英語で習っていると思いますが、日本語でも一緒です。

「~を」という目的語を書くことができるのが他動詞、「~を」を入れることができないのが自動詞です。

例えば、「私はペンを倒す」の「倒す」は、「ペンを」という目的語があるので他動詞です。
一方、「私のペンが倒れる」の「倒れる」は、「~を」を入れると変になります。ですのでこれは自動詞ということになります。

「流すー流れる」「起きるー起こす」「倒れるー倒す」のように、自動詞、他動詞どちらもあるという語は多くあります。
これらは、今の日本語だと終止形が違うのですぐに見分けがつきます。
ところが、古典では、たまに終止形が一緒になってしまいます。
その一つが、先ほど挙げた「付く」です。

自動詞の「付く」は、「つか、つき、つく、つく、つけ、つけ」です。
他動詞の「付く」は、「つけ、つけ、つく、つくる、つくれ、つけよ」となります。

終止形だけ、形が被ります。あとは違うんですけどね。ですので、終止形が出てきたときは注意して考える必要があります。
こうなる動詞は、他に「立つ(今の「立つ」と「立てる」)」などがあります。

今と活用が違う言葉

今までは、今の日本語と活用が同じようになる語だけを使って話をしてきました。

ところが、いくつか、少数ですが、今の日本語からは想像の付かない活用をする動詞もあります

代表的なのは「飽く」。今の日本語の「飽きる」です。
後ろに「ず」をつけると「飽きず」。簡単じゃん、「カ行上二段」でしょ、と思うかもしれません。ですが。ですが。

「飽く」は「カ行四段活用」です。

活用は未然形から順に、「飽か、飽き、飽く、飽く、飽け、飽け」となります。(ちなみに、古典の「飽く」は「満足する」という意味で使うことがほとんどです)。

こういう動詞で頻繁に文章に現れるのは、「飽く」「借る」「足る」の三つです。覚えてしまいましょう。

以上、動詞の活用のお話でした。

あとは、自分で参考書を開いて練習問題などを解いてみてください。
私の書いてきた話はあくまでポイント、要点です。
早く、正確に考えられるようになるかどうかは、本人の訓練次第ですからね。

では、今夜はこの辺で。

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