こんばんは。しめじです。
今夜は、昨夜の続き、動詞の活用について引き続きお話ししていきます。
昨夜は、動詞の活用の種類のうち、四段活用、ナ行変格活用、ラ行変格活用という、今日「五段活用」にまとめられているものを紹介しました。
今夜は、上一段活用、上二段活用(今日の「上一段」)と、下一段活用、下二段活用(今日の「下一段」)についてお話しします。
目次
まずは活用表から。
こんな感じになっています。

上一段活用(かみいちだんかつよう)
これは、今日の上一段活用とほぼ同じです。上の活用表で言うと、命令形が今は「着ろ」になっている、という程度でしょうか。
未然形から順番に、「い、い、いる、いる、いれ、いよ」となり、ずっと「い」の段の音が続くので、あ〜おの五段あるうち上の方にある一つだけを使うので、「上一段」と言います。
次に紹介する上二段と、未然形が同じなので、後ろに「ず」をつけるだけでは判別できません。
しかし、この上一段もまた、属する語が少ない活用です。上一段活用は、
- きる(着る…ちなみに、「切る」は四段活用です)
- にる(煮る、似る)
- ひる(干す…「乾く」という意味です)
- みる(見る…「試みる」「省みる」「鑑みる」も含みます)
- いる(射る、鋳る)
- ゐる(居る、率る…「いる」ではなくて、古典では「ゐる」です。また、「用ゐる」なども含みます)
くらいです。
また、これは主観ですが、基本的には「着る」「見る」「居る」の登場頻度だけが異常に高く、残りはほとんど見かけません。
なので、上二段と見分けようとせずに、まずはこの三つをさっさと覚えた方が楽だと思います。
古典の学習が進むと、活用語尾とかいろいろ出てきますが、現段階ではわざわざ取り上げる必要はないと思います。
助動詞までを身につけて、ややこしい語を見分けられるようにする、という目標のためにはそんなに必要な知識ではないので。それはおいおいで構いません。
上二段活用(かみにだんかつよう)
今日の上一段活用の動詞のうち、先ほど書いた上一段活用でない動詞のほぼ全てが古典では上二段活用に属します。
未然形から順番に、「い、い、う、うる、うれ、いよ」となるので、「い」と「う」の二つの段を使うので「上二段」と言います。
今の日本語の上一段と似ていますが、終止形以降が変わります。
たとえば、上の表で例にあげた「過ぎる」ですが、それぞれ未然形から順に、
古:過ぎ、過ぎ、過ぐ 、過ぐる、過ぐれ、過ぎよ
今:過ぎ、過ぎ、過ぎる、過ぎる、過ぎれ、過ぎろ(よ)
となっています。古典の「う」の部分が、すべて「い」の段に変わっていることがわかります。だから今日は「上一段」になっているのです。
終止形や連体形、已然形は、今と少し形が違いますが、読んでいくうちに慣れると思います。また、読んでいる時は大した問題にはなりません。
高一の皆さんは、定期テストで「正しく活用させなさい」や、「終止形を書きなさい」というような問題が出ることがあるので、その時だけ気をつければ十分です。(古典文法は書くために使うことはほとんどないので)
下一段活用(しもいちだんかつよう)
この活用の特筆すべき点は、なんと、
「蹴る」一語です。これしかないです。
未然形や連用形はかなり違和感があると思いますが(「蹴らず」ではなく「蹴ず」、「蹴って」じゃなくて「蹴て」です)、まあそもそもそんなに見かけません。
ちなみにこの「蹴る」は、今の日本語では五段活用になってしまっています。
下二段活用(しもにだんかつよう)
今日の下一段活用になっている語のほとんどが、古典では下二段活用に属しています。未然形から順番に、「え、え、う、うる、うれ、えよ」となります。「う」と「え」という、下半分にある二段を使うので、「下二段」です。
こちらも、上二段と同じで、終止形、連体形、已然形の形が今と違います。穴埋め問題が出たら気をつけてください。
あと、下二段の特徴的な語として、「終止形が一語の動詞」があります。
「得(う)」「寝(ぬ)」「経(ふ)」が代表的ですね。こればっかりはなかなか慣れないと思いますが、これで立派な一語です。
「今日は早く寝。」とかで成立します。
見分け方のまとめ
- 「着る」「似る」「見る」「居る」など…上一段
- 「蹴る」…下一段
- 後ろに「ず」をつけた時「い」段の音になる…上二段
- 後ろに「ず」をつけた時「え」段の音になる…下二段
です。
こうやって見ていくと、見分けなければならないのは四段、上二段、下二段だけで、残りは全てその活用に属する語が少ないので覚えておくだけ、ということがわかりますね。
残りのカ行変格、サ行変格は、今の日本語と同様属する語は少ないです。というか、今と一緒です。
では、今夜はこの辺で。