古典文法の基礎基本1 活用形の六つ。

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こんばんは。しめじです。

今夜は、まず、動詞、形容詞、形容動詞(三つまとめて「用言」)の活用について書いていきます。

動詞、形容詞、形容動詞が、いうなれば文章の「肝」になってきます。

たとえば英語なんかもそうですね。主語があって、その後必ず動詞が必要。be動詞という、日本語では大変訳しにくい動詞をわざわざ突っ込んでまで、文を主語+動詞から作ります。

実際は、英語は各単語が品詞(動詞とか、形容詞とか、名詞とかの、言葉の種類のカテゴリを品詞と言います)のカテゴリのどれかにあらかじめ割り当てられているというより、文の中のこの位置にあるから名詞、この位置にあるから動詞、と考えたほうが適切ではあるのですが。

いきなり脱線して申し訳ないですが、こんな感じでだらだらと書いていきます。

話を戻しまして。
やはり文章の中心になるのは用言。前回も大事だよと書いた「助動詞」も、基本的には用言にくっつくことが多いので、とにもかくにも用言の活用をしっかり覚えることが、次のステップに進むうえでも大切です。

さて、用言の活用は、大きく分けて二つの情報に分かれます。

「活用形」と、「活用の種類」です。今夜は、「活用形」についてお話しします。

目次

  1. 「活用形」
  2. 未然形
  3. 連用形
  4. 終止形
  5. 連体形
  6. 已然形
  7. 命令形

「活用形」

活用形は、実際にその単語が変化してとる形のことです。動詞も、形容詞も、形容動詞も、全部で6種類あります。これは共通です。

もっとも、中学校の国語の授業で習っただろうものと、おおむね同じです。大体、どの文法の本も、一つ目から順番に、

  • 未然形
  • 連用形
  • 終止形
  • 連体形
  • 已然形
  • 命令系

となります。
ん?「已然形」? となると思います。中学校で習う、今の日本語の文法は、「已然形」の所が「仮定形」になっていましたね。「走れば間に合う」の「走れ」ですね。

ところが、これはのちに生まれた使い方で、古文の文法では「已然形」と言います。そして、働きも全く違います。ちなみに、今の「仮定形」で表す「もし~ならば」というのは、古文では「未然形」を用いて表します。
(なんでそうなるのかは後で説明します)

そのまま六つ、べたっと暗記してもかまわないのですが、それぞれの活用形の意味を理解しておくと、後々の助動詞の意味の理解がとってもスムーズになるので、まず、この六つの形が持つそれぞれの意味、使い方、働きについてお話しします。

未然形

「未だ然らざる形」と読めます(これは漢文の知識ですが。読み方は「いまだしからざるかたち」です)。
つまり、「まだそうなっていない」状態のときに使う活用形です。

例えば、まずは今の日本語で考えましょう。「行く」という言葉。未然形は「行か」ですね。後ろに「ない」をつけると、「行かない」。行っていません。こういう風に、「そうなっていない、そうしていない」時の使い方です。

まだそうなっていない、って他にどういう時があるでしょうか。

例えば、今からそうしようとしている時、そうするつもりでいる時は、その時点ではまだそうしていません。(「意志」と言います)

「もし雨ならば、明日の運動会は中止だ」。まだ明日になっていないので、まだ雨ではありません。(「仮定」と言います)

「きっと、あの二人は付き合っているんだろう」と想像する場合、まだその二人が付き合っているという事実が確定しているわけではありません。(「推量」といいます)

他にもまだまだありますが、こういう風に、まだそうなっていない状況の意味を表す助動詞などが後に続く場合は、「未然形」になることが多いです。

連用形

「用言に連なる形」です。つまり、後にも用言がつながる場合が中心の使い方です。

例えば、「走り始めた」の「走り」。後ろにくる「始めた」も動詞、つまり用言ですので、「走り」は連用形と言うことになります。

連用形の後ろには、用言や、用言がもとになって生まれた助動詞が続く場合が多いです。

終止形

これはもうそのままです。文章が終わるときの使い方です。一般的には文の最後に使う形ですが、一部、終止形のあとにつながる助動詞があります。

連体形

「体言に連なる形」です。後ろに名詞が来ることがほとんどです。「走る人」の「走る」ですね。今の日本語では、基本的に終止形と同じ形です。

ところが、古典では終止形と連体形は別の形をしていることが多いです。
なんで今の日本語の終止形、連体形とは違うのか、ということについては、またいずれお話ししようと思います。

已然形

これが、一番謎多き活用形に思われるかもしれませんが、「已然」の意味が分かればそんなに難しくありません。

「已に然る形(すでにしかるかたち)」と読むことができます。
つまり、「もうそうなっている」ことを示すときに使う活用形です。未然形と対になっていると思ってもらって問題ないと思います。

一番多いのは、「走れば」というふうに「ば」をつける形です。でも、古典での「走れば」は仮定ではありません。「走ったので」とか、「走ったところ」というような訳し方をします。
古典で仮定を表したいときは「走らば」になります。

なぜ仮定を表す時は、古典だと未然形を使うというと、仮定は「まだそれが現実に起きていないから」です。

たとえば、「今から走れば、バスに間に合う」という場合。
まだ走っていません。

だから、古典だと「走らば」になるんです。
これが、時代の流れと共に使い方がごっちゃになっていって、仮定の場合は未然形を使う、という使い方がなくなり、どっちも已然形に変わっていきました。

すると、「すでにそうなっている」という意味の「已然」という名前を用いることが不自然になりますし、むしろ本来の已然形での意味で使われること自体がほとんどなくなってしまったので、「仮定形」に呼び名を変えることになった。
という経緯が大体のところです。

命令形

「走れ!」みたいな、命令する形です。これも、文の最後に出てくることが多いですね。

以上、活用形の六つでした。中学校の国語ではべた暗記していた方も、これを機会にぜひ、その活用形の持つ意味や働きもあわせて理解してみてください。
後で助動詞を勉強するときにかなり楽になります。
助動詞そのものを覚えるときも覚えやすくなりますし、何よりも「それがどの単語なのか」を見分ける「識別」という作業をするときに絶対に必要になります。

では、今夜はこの辺で。

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